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2012~2013年ごろからよく耳にするようになった「糖質制限ダイエット」。大きなブームとなり世の市民権を得た糖質制限ですが、なかには極端な制限を行う人も現れ、そのやり方の是非が問われました。
そこで、新たに出てきた考え方が「ロカボ」です。
ロカボとは厳格な糖質制限よりもゆるく柔軟に糖質摂取をコントロールする食事法のこと。ストレスなく続けられるうえに、健康や美容、ダイエットにも良い効果をもたらしてくれます。しかし、糖質制限と同じで方法を間違えば元の木阿弥。元の状態よりも悪くなってしまう可能性もあります。
正しい知識を身に付け実践すれば、今よりももっと綺麗に、エネルギッシュになれる。そんなロカボの方法や効果について紹介します
ロカボとは

ロカボとは一般社団法人 食・楽・健康協会が提唱する「多いでも、少ないでもない、適正な糖質を摂取して食事を楽しもう」という考え方です。
そのやり方は、1日の糖質摂取量を60~120g+10g(間食)に抑えるのみ。糖質の量さえ気にしていれば、ほかは何を食べてもOKです。カロリーや脂質などの制限もありません。
ロカボの実践により、動脈硬化や腎不全、ガン、肌の老化防止など健康や美容面での効果が期待できます。
一方で、すべての食品が糖質を表示しているわけではないので、実践が少々難しい側面があります。
糖質制限との違い
ロカボと似たような言葉に「ローカーボ」があります。ローカーボは糖質制限と同義ですが、ロカボとは異なり「糖質が少ない、もしくは含まない」食品を摂取することを指します。
ロカボも糖質摂取量のコントロールを行いますが、現在1日250~400g摂取しているといわれている過剰摂取状態から適正量(70~130g/日)まで糖質の量を減らすことを目的としています。
ローカーボのように極端に糖質を制限するものではないので、ロカボはストレスフリーに健康維持やダイエットを続けたい人から選ばれているのです。
低糖質の基準
低糖質とは、食品100g中に含まれる糖質が5g未満、もしくは飲料100mlあたりの含有量が2.5g以下が基準となります。ちなみに100g中0.5g未満の場合は、「糖質ゼロ」や「無糖」などと表示されることがあり、実際には微量の糖質を含む場合があるので注意してください。
ダイエットやトレーニング目的で行うことが多い糖質制限ですが、量を減らしすぎるとエネルギー不足に陥るほか、代替食品で栄養素を補ってあげないと却って太りやすい・病気になりやすい身体になってしまいます。
糖質の制限をする場合は、ロカボが提唱する適正量(70~130g)を目安にして食事を楽しみましょう。
糖質とは
そもそも糖質とは、炭水化物に多く含まれている日常生活を支えるエネルギー源となる物質です。
摂取した糖質は体内でブドウ糖に分解されます。ブドウ糖は脳のエネルギー源となるもので、不足すると集中力の低下や、頭がぼーっとして考えがまとまらないなどの不具合が生じてきます。
さらに、身体はエネルギーが不足すると、筋肉からタンパク質を分解してエネルギー源を確保しようとします。筋肉量が減ってしまうと基礎代謝が下がるので、ダイエットが効率的に行えなくなってしまいます。
「では糖質をたくさん摂れば良いのか」というと、そうではありません。
糖質はブドウ糖に分解され、エネルギーとして活用されますが、摂りすぎて余ってしまったブドウ糖は脂肪へと変わり、体脂肪として蓄積されていきます。
また、糖質の高い食事を摂ると血糖値が急激に上昇します。上昇した血糖値を下げるために、インスリンが過剰分泌して血糖値を一気に下げようとします。その結果、血糖値が正常値以下になる低血糖を引き起こし、再度血糖値を上げるために糖質の高い食事が欲しくなるという悪循環が起きるのです。
この負のループを繰り返していく内にインスリンの分泌機能が低下。分泌量が減っていき、糖尿病などの生活習慣病を引き起こすといわれています。
ロカボで期待される効果
ロカボを実践することには、さまざまなメリットや効果が期待されます。
- 血糖値の上昇を抑える
- 糖質制限よりも続けやすい
- 生活習慣病の予防になる
- ダイエット効果が期待できる
- 体脂肪率を下げて筋肉を付ける
上記からわかるように、ロカボの実践と健康効果には密接なかかわりがあります。身体の変化が現れてくると、ロカボ食がますます楽しみになってくるでしょう。
まさに一般社団法人 食・楽・健康協会が提唱する「おいしく楽しく適正糖質」を実現できます。
血糖値の上昇を抑える
先述の通り、血糖値は食事から摂取される糖質によって上昇していきます。
そして糖質の過剰摂取は血糖値を急激に上昇させます。そこで血糖値を下げるホルモンであるインスリンが反応して、血糖値を急降下させます。血糖値が急降下した身体は、急いで血糖値を正常値に戻そうと試みるため、再び糖質を欲す。
このように、血糖値の急上昇は負のループのトリガーとなってしまうのです。
ロカボでは1回の食事において20~40gに糖質を抑えるようにします。そのため急激に血糖値が上昇することはなく、ゆるやかに上昇してゆるやかに元に戻っていきます。
糖質制限よりも続けやすい
糖質制限は、「糖質が少ない」もしくは「糖質を含まない」食事を行うことです。そのため、人によっては大変なストレス下で行うことになります。また、食事は一生続けていくものです。長期間にわたって自制心を保てる人は少数派でしょう。
一方、ロカボはゆるい糖質制限です。適正量を守れば糖質を含む炭水化物も食べられるので、ストレスフリーに続けていくことができます。
生活習慣病の予防になる
メタボリックドミノという言葉をご存じでしょうか? メタボリックシンドロームを基点に、さまざまな生活習慣病がドミノ倒しのように引き起こされる現象を指すものです。このメタボリックドミノの諸悪の根源のひとつが、糖質の過剰摂取だといわれているのです。
さらに現代人は運動をする習慣があまり無く、それにも関わらず3食+間食をしている場合が多く、糖質過多となる条件がそろっています。
摂りすぎている糖質をロカボで適正値に戻すことで、さまざまな生活習慣病の予防になるのです。
ダイエット効果が期待できる
糖質はダイエットにも深く関わってくるものです。
糖質は消化・吸収の段階でブドウ糖に分解されていきます。分解されたブドウ糖はエネルギーに変換されますが、摂りすぎによって消化・吸収されなかったブドウ糖は脂肪として蓄えられていくのです。
一方、糖質をまったく摂らないなど過剰な制限を設けるのも良くありません。欠乏した栄養素に対して、身体は飢餓状態になります。そして糖質制限を終え、再び糖質を取り始めると身体は歯止めが利かなくなるほど糖質を求めてしまい、リバウンドが起きてしまうのです。
ロカボでは適切な糖質を摂取しつづけるため、糖質が脂肪として蓄えられることもなく、過剰に欲してしまうこともありません。短期間で効果を得ることは難しいかもしれませんが、リバウンドなしの自然なダイエット効果が期待できるでしょう。
体脂肪率を下げて筋肉を付ける
ロカボでは糖質を減らしたことによりエネルギー源が減少するため、他の栄養素で補う必要が生じます。そのため肉や魚などのタンパク質を積極的に摂取するように推奨されています。タンパク質は筋肉に必要不可欠な栄養素であるため、筋トレにも良い効果が期待できるでしょう。
ただし、ロカボだけを実践しても筋肉は付きません。ロカボと一緒に筋トレをすることが大前提です。ロカボで脂肪の蓄積を抑え、筋トレ効果が上がれば基礎代謝も高まるので、さらに脂肪を燃焼しやすい身体になっていきます。
筋トレをして筋肉が付けば見た目に変化が訪れます。また筋トレの副次的効果として、アンチエイジングやストレス解消などが望めるため、ロカボを実践するのであれば、一緒に筋トレも取り入れてみると良いでしょう。
ロカボにおすすめの食品・食材
ロカボにおすすめの食品や食材は以下のとおりです。
- ナッツ類
- ヘンププロテイン
- サラダチキン
- ロカボ焼き菓子
- 飲むTOFU
昨今の低糖質ブームから、コンビニでも多くの低糖質商品が発売されています。そのため自身で調理が面倒な時などに活用すれば、無理なくロカボを実践できるでしょう。
またスーパーフードと呼ばれるナッツやヘンププロテインは、糖質含有量が低いだけでなく、豊富な栄養素やミネラルを含んでいます。なかでもヘンププロテインは必須アミノ酸9種類や不飽和脂肪酸を含む優秀な食品です。ロカボを実践するのであれば、積極的に摂りたい食品となるでしょう。
ナッツ類
低糖質なうえに不飽和脂肪酸やビタミンEなどの栄養も豊富に含むナッツは、ロカボにぴったりの食材です。また、その噛みごたえから食べ過ぎも防止してくれます。
ただし、ナッツであれば何でも良いわけではありません。例えばカシューナッツは10粒中の糖質が4g。アーモンドは1.3gなので約3倍の糖質を含むことになります。
そのためカシューナッツは避けて選ぶようにしましょう。また砂糖がけやキャラメルナッツも糖質が高くなるので控えた方が無難です。
品目 | 10粒換算の糖質 |
---|---|
クルミ | 0.9g |
アーモンド | 1.3g |
ピスタチオ | 0.6g |
マカダミアナッツ | 1.2g |
カシューナッツ | 4.0g |
ただし、ナッツは脂肪分を豊富に含みカロリーが高い食品です。1日20粒程度で抑えておきましょう。
- 摂取方法・レシピ:ナッツがけサラダ
お好きな野菜を用意して、お皿に盛り付けます。そこに砕いたナッツを散りばめ、ドレッシングをかければできあがりです。
ヘンププロテイン
次世代のスーパーフードと名高いヘンプ。ヘンプは麻の実を使用した植物由来の栄養補助食品であり、そのヘンプを粉末状にしたのがヘンププロテインです。
ヘンプ製品100g中に含まれる糖質の量は1g以下。良質なタンパク質やビタミンEなどの栄養素を豊富に含むため、ロカボにはもってこいの食品です。
- 摂取方法・レシピ:ヘンプ団子
ヘンププロテイン30g、ヘンプオイル30cc、きな粉15g、ラカント5~10gを混ぜ合わせたら団子状にします。仕上げに分量外のきな粉をまぶせば、出来上がりです。
ヘンプオイルは水や牛乳でも代用できます。栄養価が優秀なので、ダイエット中やトレーニーの減量期にも最適です。
【関連記事】ヘンププロテインとは|ダイエット・整腸効果や副作用、味と飲み方を解説
サラダチキン
鶏胸肉に塩胡椒、ハーブなどで味付けをしたサラダチキン。熱調理をすると硬くなるイメージのある鶏胸肉ですが、ゆっくりと火を通すことでしっとりとした食感を楽しめます。
脂質を抑えてタンパク質を摂りたい人や、腹持ちを意識した食品を摂取したい人におすすめです。
- 摂取方法・レシピ:サラダチキン
鶏胸肉の表面にフォークで数カ所穴を空けます。酒大さじ1、砂糖小さじ1、塩小さじ3分の1、胡椒少々、鶏ガラスープの素小さじ1と一緒に保存袋に入れて一晩寝かせます。鍋にたっぷりの水を入れ、沸騰したら火を止めて、寝かせた鶏胸肉を保存袋ごと入れます。そのまま50~60分ほど放置。粗熱がとれたら出来上がりです。
お湯に入れる前に常温に戻しておいた方が、火が通りやすくなります。また、セブンイレブンやファミリーマートでも販売しているので、調理が面倒な人は積極的に活用しましょう。
ロカボ焼き菓子
おやつに甘いものが欠かせない!という人におすすめなのが、セブンイレブンから登場した「ロカボ焼き菓子」です。ドーナッツ、ワッフル、バターケーキの3種類があります。糖質を50%カットした商品で、ロカボ実践中のプチ贅沢に最適です。
飲むTOFU
飲むTOFUは、ファミリーマートとRIZAPのコラボ商品です。甘い飲み物が飲みたいけど糖質が気になる人におすすめです。あっさりしたイメージの強い豆腐を使用していますが、味は濃厚でクリーミー。満足感を得られるドリンクです。
このほかにも、ファミリーマートではRIZAPとコラボしてチーズケーキや担々麺、プリンなどさまざまな低糖質商品を販売しています。甘いものや麺類が好きなロカボ実践者の味方になってくれるでしょう。
まとめ
糖質が「ない」もしくは「少量しか含まない」食品を意識した極端な糖質制限に対して、ロカボは1日の糖質量を70~130gにコントロールする食事法です。ストレスなく続けられるため、健康やダイエット、美容などで良い効果が期待できます。
糖質は摂りすぎも減らしすぎも良くありません。その点、ロカボはバランスに優れた理想的な食事法です。
また、昨今の健康志向の高まりを受け、コンビニやレストランなどでもロカボ商品が増えています。どんどんロカボが実践しやすい世の中になってくるので、市販品も上手に活用しながら健康維持に努めましょう。